生成AIは何をしているのか|「考えているように見える」理由

前回の記事では、機械学習とディープラーニングの違いを整理しました。

ここまで来ると、多くの方がこんな疑問を持ちます。

「生成AIって、結局なにをしているんですか?」
「どうして考えて文章を書いているように見えるのでしょうか?」

この疑問をあいまいなままにしてしまうと、
生成AIを過信したり、
逆に不安になりすぎたりしてしまいます。

この回では、専門的になりすぎないよう注意しながら、
生成AIの正体を一緒に整理していきましょう。

目次

生成AIとは何をするAIなのか

生成AIとは、
文章・画像・音声などを新しく作り出すAIです。

これまで主流だったAIは、
「これは何か」「どちらが正しいか」といった
分類・判定を得意とする
識別系AIでした。

一方、生成AIは、
ゼロからコンテンツを生み出す
という役割を持ちます。

ここが、従来のAIとの大きな違いです。

大規模言語モデル(LLM)という考え方

文章を作る生成AIの中核となっているのが、
大規模言語モデル(LLM)です。

LLMは、
インターネット上の膨大な文章を学習し、
「言葉と言葉がどのようにつながりやすいか」
というパターンを覚えています。

ここで重要なのは、
LLMは意味を理解しているわけではないという点です。

辞書やデータベースを引いて
正解を探しているわけではなく、
学習した文章の流れをもとに、
次に来そうな言葉を選んでいます。

「意味」ではなく「確率」で文章を作っている

生成AIが実際に行っているのは、
次に来そうな言葉の断片を確率的に選ぶことです。

この「言葉の断片」は、
専門用語ではトークンと呼ばれます。

たとえば、
「今日は天気が」と入力すると、
「いい」「悪い」「晴れ」など、
続きとして出やすいトークンが候補になります。

生成AIは、
もっともらしいトークンを選び続けることで、
結果として自然な文章を作り出しています。

なぜ考えているように見えるのか

それでも私たちには、
生成AIが「理解して考えている」ように見えます。

その理由の一つは、
人間が書いた膨大な文章の中にある
思考の型を学習しているからです。

論理的な説明の流れ、
結論のまとめ方、
丁寧な言い回し。
そうした型をなぞることで、
思考しているように感じられます。

さらに、
人間がAIの回答を評価し、
「より自然で人間らしい答え」を選ぶように
調整する強化学習(RLHF)が行われています。

その結果、
生成AIはますます
「考えているように見える」存在になっています。

間違いが起きる理由(ハルシネーション)

生成AIが、
事実ではないことを
もっともらしく答えてしまう現象を
ハルシネーション(幻覚)と呼びます。

これは、
生成AIが正誤を確認しているのではなく、
学習したパターンから言葉を編み出している
ことに起因します。

データベースを検索して
「正解」を取り出しているわけではないため、
自信満々に間違えることも起こります。

そのため、
人の目による確認や判断は
仕組み上、欠かせません。

試験で押さえるポイント

  • 生成AIは「生成」を行うAIである
  • 文章生成の中核は大規模言語モデル(LLM)
  • トークンを確率的に選んで文章を作る
  • 意味理解ではなくパターン学習である
  • ハルシネーションは仕組み上起こりうる

実務・Web運営での判断につながる視点

この仕組みを理解すると、
生成AIの使いどころがはっきりしてきます。

生成AIは、
「もっともらしい嘘」を作るのが得意です。

そのため、
知らないことを調べる
「検索エンジン」の代わりとして使うよりも、
自分が知っている情報の
整理・言い換え・構成づくり
に使う方が安全で効果的です。

生成AIは魔法ではありません。
正体を理解したうえで使うことが、
実務での失敗を防ぎます。

試験で覚えておきたい重要キーワード

  • 識別系AI(判別系AI):分類・判定を行う従来型AI
  • 生成系AI:文章や画像などを新しく作るAI
  • 大規模言語モデル(LLM):文章生成のエンジン
  • トークン:文章を構成する最小単位
  • ハルシネーション:もっともらしい誤情報を出す現象

まとめ|正体が分かると使い方が変わる

今回は、生成AIが何をしているのかを整理しました。

ポイントは次の3つです。

  • 生成AIは意味を理解しているわけではない
  • 確率にもとづいて文章を生成している
  • だからこそ人の判断が欠かせない

次回は、
生成AIの得意なこと・苦手なことを整理します。
判断できるようになると、不安はぐっと減っていきます。

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