前回の記事では、人工知能の歴史を
第1次〜第3次AIブームの流れとして整理しました。
その中で何度も登場したのが、
「機械学習」と
「ディープラーニング」です。
この2つは似た言葉ですが、
試験でも実務でも、区別して理解しているかが問われます。
なぜなら、この違いこそが、
「なぜ生成AIがここまで進化したのか」を説明する土台になるからです。
この回では、暗記ではなく、
考え方の違いに注目して整理していきましょう。
目次
機械学習とは何か
機械学習とは、
データをもとに、AIが判断のルールを学ぶ仕組みです。
ルールベースAIでは、
人が「この条件ならこう判断する」と
すべて決める必要がありました。
機械学習では、
正解例とデータを与えることで、
AIが自分でパターンを見つけ出します。
迷惑メール判定や売上予測などは、
機械学習の代表的な活用例です。
AI・機械学習・ディープラーニングの包含関係
ここは試験で非常によく問われる重要ポイントです。
AI・機械学習・ディープラーニングは、次のような入れ子構造になっています。
AI(人工知能) > 機械学習 > ディープラーニング
つまり、ディープラーニングは、
機械学習という大きな枠組みの中に含まれる、進化版の技術です。
「ディープラーニングは機械学習の一種である」
という関係を、ここでしっかり押さえておきましょう。
特徴量という考え方
機械学習を理解するうえで欠かせないのが、
「特徴量(とくちょうりょう)」という考え方です。
特徴量とは、
AIが判断するためのヒントになる情報のことです。
従来の機械学習では、
この特徴量を人間が考えて設計する必要がありました。
猫の画像認識で考えてみる
ここで、猫の画像認識を例に考えてみましょう。
-
従来の機械学習:
人間が「耳が三角」「ひげがある」といった
特徴量をヒントとして教える -
ディープラーニング:
数万枚の猫の画像を見せるだけで、
AIが「猫に共通する特徴」を自ら見つけ出す
このときAIは、
人間には言葉で説明できないような
非常に複雑な特徴まで学習しています。
ここが、ディープラーニングの大きなブレイクスルーでした。
ディープラーニングとは何が違うのか
ディープラーニング(深層学習)は、
人間の脳の神経回路(ニューロン)を参考にした
ニューラルネットワークを、
何層にも重ねた仕組みです。
この多層構造によって、
AIは単純な特徴から複雑な特徴へと、
段階的に理解を深めていきます。
その結果、
画像・音声・文章といった、
これまで扱うのが難しかったデータを
高精度で処理できるようになりました。
試験で押さえるポイント
今回、押さえておきたいポイントは、次の点です。
- ディープラーニングは機械学習の一種である
- 最大の違いは「特徴量を誰が抽出するか」
- ディープラーニングには大量のデータと高い計算能力(GPUなど)が必要
- AI・機械学習・ディープラーニングは入れ子構造になっている
図を思い浮かべながら説明できると、
試験でも迷いにくくなります。
実務・Web運営での判断につながる視点
なぜ、この違いを知る必要があるのでしょうか。
それは、「AIに何を準備すべきか」が変わるからです。
たとえば、
機械学習的な判断(売上予測など)では、
「どんなデータが影響しそうか」を
人間が考えて整理する必要があります。
一方、生成AI(ディープラーニング)では、
とにかく大量の文章や画像を与えることで、
人間が気づかないルールまでAIが汲み取ります。
AIは魔法ではありません。
手法によって、
人間が手助けすべき部分が違う。
この視点を持つことが、
実務での第一歩になります。
まとめ|違いが分かると判断できる
今回は、機械学習とディープラーニングの違いを整理しました。
今日のポイントは次の3つです。
- ディープラーニングは機械学習の進化版である
- 特徴量を人が作るか、AIが見つけるかが大きな違い
- この違いが生成AIを可能にした
次回は、
「生成AIは何をしているのか」をテーマに、
さらに中身をのぞいていきます。
一歩ずつ、理解を積み上げていきましょう。




